賃金規程等の諸規程 作成のポイントと料金(専門家に依頼した場合)
- 特定社会保険労務士 小嶋裕司

- 2023年12月25日
- 読了時間: 11分
更新日:1月2日

このページをお読みの方は、賃金規程、退職金規程、副業規程、テレワーク規程等をはじめとした諸規程を作成しようとお考えの方だと思います。
このページでは、以下の流れで諸規程を解説します。このページだけで、諸規程についての概要は抑えることができる内容になっています。
目次
「4.専門家に依頼した場合の料金」の項目は、は自社で対応が難しいという会社様向けの内容です。自社で作成する際には不要な内容になります。
1.諸規程とは何か?
諸規程とは、就業規則の一部分を取り出した規程になります。例えば、賃金規程等がこれに該当します。テーマを限定した規程ですね。
もちろん、別の規程とせず、就業規則の中に(就業規則の一部として)規定してもかまいません。大切なことは規則や労働条件のポイントが過不足なく(適切に)規程の中に表現されていることであって、それを就業規則の中に組み込むか、別規程にするかは形式の違いにすぎないからです。
■ 別規程にするメリット
しかし、多くの企業が別規程にしている以上、別規程化するメリットはあります。別規程にする理由と言い換えることもできます。そして、それは、諸規程の本質を表していますので、解説します。
1番大きなメリットは求めている箇所(規定)を探しやすくなることです。特に、副業規程や旅費規程など、該当する社員に常に参照してもらいたい規程は、別規程にした方がよいでしょう。就業規則の体系が明確になっていないと、就業規則の条文数が多くなればなるほど、必要な箇所(ルール)を探すのに手間取ってしまいます。
また、対象者が少なくても作成する必要のある規程があります。それらを全て就業規則の中に規定してしまうと、就業規則本則が膨大な量になります。就業規則の必要な条文にアクセスしにくくなります。そういう理由から多くの企業が別規程にしているのです。
2.諸規程の重要性
ただ、いずれにせよ、就業規則とは別規程にしてまで作成しようとお考えである以上、御社にとって重要な内容であるはずです。例えば、法律で作成が義務付けられている規程であったり、会社にとって重要な内容であったりするでしょう。
実際、普通は就業規則の中に規定する内容であっても、会社にとって重要な課題は「別規程にしたい」と仰るお客様が多いです。
例えば、休職・復職などは就業規則の中に規定するのが一般的ですが、会社にとって特に重要だとご認識されている場合、別規程にしたいと多くの方が仰います。副業なども同じです。そして、内容は、詳細になる傾向があります。
このように、諸規程は非常に重要です。以下で、当事務所によくご依頼いただく諸規程を挙げて、抑えておくべき作成のポイントをご説明します。
3.各規程の作成におけるポイント
(1)賃金規程
賃金規程は就業規則の賃金の部分を別にした規程です。残業代の問題も関わってきます。会社にとっても社員にとっても極めて重要なのが賃金です。
まず、会社の方針に添った賃金の決め方になってることが大切です。例えば、実力主義で賃金を支払っていきたいのに基本給のみの構成になっていたのでは会社の方針と一致しているとは言えないでしょう。実力によって賃金が決まる規程にする必要があります。また、途中入社の社員の賃金の決め方で公開したことがあるなら、対策を規程に盛り込む必要があります。様々な経営課題を解決できるように作成してください。
中小企業での賃金規程を作成する際に重要なことは以下のページで解説しています。無料相談のご紹介もしております。
御社の賃金制度は社員の貢献、会社の業績に連動した賃金制度になっていますか?
(2)退職金規程
当事務所では退職金に関するご相談が増えています。「退職時のトラブルを減らしたい」「離職率を少しでも減らしたい」等目的は様々です。
これらの目的に対して、退職金制度の整備は有効ですが、「退職時の基本給×支給率」という一般的な退職金規程では、会社の目的を達成できるとは限りません。
退職金規程の作成のポイントは以下のページで詳しく解説しています。以退職金のパターンの一覧もお示しておりますので、この記事だけで退職金制度(規程)の基本は網羅されています。ぜひ、ご参考にしてください。
(3)車両管理規程・マイカー通勤規程
会社に社用車がある場合、車両管理規程の整備は必須です。会社の社用車で事故が起きた場合は、会社が責任を問われるからです。
また、社員がマイカー通勤中に起こした事故は原則として会社に責任はありませんが、例外的に、会社が責任を問われることがあります。そのようなことが起きないようにするため、マイカー通勤を認める場合も規定化が必須です。
(4)旅費規程
旅費の請求や清算手続を明確にしてトラブルを避けるために必要です。1回明確にして規定化することで、社員からの個別の相談(質問)が減り、会社の事務手続の負担を減らすという点で有益ですが、規定すべき箇所は決まっています。当事務所でもご依頼が多い規程ですが、賃金規程などと比べれば、雛型を複数用意して作成することで目的は達成できる規定でもあります。
●国内旅費規程・海外旅費規程
旅費規程には「国内旅費規程」と「海外旅費規程」があります。いずれも、いくつかのひな型を利用して作成することが基本ですが、海外旅費規程を作成する必要のある会社は、海外との取引(オンライン打合せ)など時間外での働き方が多い会社もあります。その働き方の扱いは就業規則に記載することは忘れないでください。
(5)育児介護休業規程
育児介護休業法自体が複雑になってきています。条文数が多く、この規程は、就業規則本則に規定するのは現実的ではありません。別規程にする方が良いでしょう。育児介護休業規程には、対象者や取得する際の手続などを記載することになります。
2022年及び2025年の育児介護休業法の改正は、会社に与える影響が非常に大きな内容でした。当事務所でも、クライアント企業向けに勉強会を行い、改正育児介護休業法の支援も行いましたが、皆様、内容にビックリされておりました。現在、厚生労働省からひな型が出されております。書式とともに、ご参考にしてはいかがでしょうか。
(6)機密情報保護規程
現在、取引先から「守秘義務契約」等を要求されるケースが増えています。また、会社の機密情報を守る必要もあります。そこで、機密情報保護規程の重要が増しています。いったん機密情報が漏洩したら取り返しがつきません。機密情報の範囲や取扱い方法などを明確にすることが不可欠です。また、万が一、違反が発生した場合の対応も明確にしておくべきです。更に、守秘義務の誓約書等の整備も必要でしょう。
(7)テレワーク規程
テレワークと言っても、様々です。まず、働く場所を明確にしましょう。自宅近くの喫茶店や図書館などでの仕事は良いのかなどです。PC等の紛失のリスクがあり、禁止している企業が多いです。先ほどお話した機密情報の取扱いも大切です。また、経費や労働時間の管理も明確にする必要があります。なお、直行直帰やいわゆるモバイルワークなど在宅勤務とは違う働き方の場合には、自社での作成は難しいかもしれませんが、一般的なテレワークであれば、特殊な場合を除いて、雛型を用意することで自社で対応可能でしょう。
以下のページをお読み頂くと、テレワーク規程の作成の際に検討すべきポイントがより具体的にわかると思います。どのような場合に、ひな型を用意するだけでは対応が難しいかご理解頂けると思います。
(8)副業規程
副業が認められないケースや申請の手続を明確にする必要があります。また、副業元と副業先の労働時間は通算されますので、割増賃金が必要になるケースが出てきます。副業が雇用なのか自営・フリーランスなのかでも違ってきます。そのような観点からも、会社が副業を認める際、曖昧にしておくと後々問題が生じかねません。
なお、意外と見落とされがちですが、労働時間管理は厚生労働省が出しているガイドラインの「管理モデル」がとても役に立ちます。この「管理モデル」が最も現実的だと考えています。特に、フルタイムで働いている社員に「雇用での副業」を認める際には管理モデルの理解は必須だと思われます。副業の労働時間管理が圧倒的にしやすくなります。
(9)諸規程作成のポイント まとめ
以上、一般的な諸規程を挙げて解説してまいりましたが、ここに挙げていない規程であっても、「ひな型を利用して作成可能な規程」と、「雛形を変えただけでは対応が難しい規程」を見極めたうえで、作成を進めることが必要でしょう。一般的に、労働条件が絡む規程は雛型を複数そろえても対応が難しいケースが多いです。
労働条件については、労働基準法などの法律の規制があります。また、会社にもご事情があるはずです。その両方を満たした現実的な内容にする必要があるからです。
しかし、いずれにせよ、1点 注意していただきたいことがあります。各規程は、就業規則の一部を独立させたものですので、単体で考えることはできません。今まで見てきたように、テレワーク規程と機密情報保護規程は密接に関係していますし、副業規程は労働時間管理が必要で、就業規則との関係が問題になります。就業規則本則との関係、各規程間の関係を常に意識して作成してください。
4.諸規程作成を専門家に依頼する際の料金
ここまで、自社で諸規程を作成する際の重要なポイントをご紹介してまいりましたが、規程によっては、「自社だけで対応するのは難しそうだ」と感じられた会社様もいらっしゃると思います。そこで、専門家に依頼する際の料金の考え方についてご説明します。
タイプA:旅費規程など、基本的なルールを整理するタイプの規程
すでに社内で大まかなルールがあり、それを明文化しておきたいという場合には、比較的シンプルな作業(ヒアリングして、まとめる作業)で済むことがほとんどです。負担の少ない料金で対応できるケースがほとんどです。多くのケースで数万円以内程度で済むでしょう。
例:旅費規程/機密情報保護規程/副業規程
タイプB:賃金規程・退職金規程など、労働条件そのものに踏み込む規程
賃金制度や退職金制度の見直しを伴う場合には、ヒアリングして規程にまとめれば良いケースばかりではありません。「法令遵守と会社の事情」を踏まえた制度設計が必要になってきます。したがって、「タイプAの規程」と比べ、作業量・検討事項が増えます。その分、料金も高めになりがちですが、単に、ヒアリング事項をまとめるだけのケースなら、「タイプAの規程」と作業量・検討事項もそれほど大きな違いがありません。その場合、賃金規程であっても、10万円を超えるのは高いと私は感じます。
当事務所の料金額
最後に、当事務所の料金のご説明をいたします。当事務所では、「この規程が●万円で、この規程は●万円」という料金の決め方はしておりません。ご事情を伺ったうえで、想定される作業量に応じて個別にお見積りをお出ししています。「概算見積もりお問合せ・お申込ページ」から、お問合せ・お申込ください。
なお、タイプAの規程や、タイムBの規程でも「法令遵守と企業の事情を踏まえた制度設計」が不要なケースは比較的容易に作成できます。ひな形をベースにした業務になるからです。その場合、当事務所でも、殆どのケースで、1.1~5.5万円(税込)程度で収まります。
料金が高くなるのは、会社が解決せざるを得ない重要な課題を抱え、その解決に難しさを伴うケースです。賃金規程(賃金制度)が高くなりがちな理由はそこにあります。例えば、「貢献度に応じた賃金」「会社の業績に連動した賃金」にしたいという場合、ひな型ベースの業務ではなくなり、打合せの回数も増え料金が高くなるのです。
なお、当事務所は、就業規則の専門事務所として、企業独自の諸規程も多数作成してきました。例えば、「社員の独立支援規程」「社員の職場復帰プログラム規程」といった、「一般的ではない規程」の作成でも、複数の会社での作成経験があります。他の会社にはない、独自の規程を作成したいとお考えでしたら、就業規則の専門事務所ですのでお役に立てると思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
執筆者
フェスティナレンテ社会保険労務士事務所
代表・特定社会保険労務士 小嶋裕司
執筆者プロフィール
就業規則の関連業務に特化した専門家。17年以上、業務のほぼ全ての時間を就業規則の関連業務に費やし続けてきたため、一般的な規程はもちろんのこと、会社独自のニーズ・課題を解決するため、会社独自の規程・社則作成の依頼も多い。特に、福利厚生関係、労働条件関係の諸規程(付属規程)に強みがある。なお、企業が抱える課題を解決することが業務であるため、課題解決手段型就業規則®という名称で商標を取得している(登録商標第5762073号)。


